師の教え

その1「ソフトに深く押圧するには?」

 昭和55年に血液循環療法創始者小山善太郎先生の直弟子村上浩康先生に入門した。村上先生がそうであったように私に対しても「手とり足とり」教えてはくれず、見取り稽古であった。つまり、師匠が治療するところを見学して、見て「技」を盗む、これが見取り稽古である。指の使い方、動き、スピード、力加減、フォームなどを見て真似をして覚えるのである。これだと、圧度が解らない。そこで、先生がモデルになって私の治療を受けてくれた。先生は長年正座をして治療をし、膝を悪くしていたので、むしろ積極的に「先生、治療させてください。」と申し出た。私の治療を受けた先生は一言「強すぎる」。そこで、

弱めに押圧した。すると「それでは浅い。もっと深く入れろ。」といわれた。深く入れようと思い力を入れると、また、「強すぎる」といわれた。どうすりゃいいのだ?深く入れようとすると強くなり、痛くないように軽く押圧すると浅くなる。痛くなく、深く入れるにはどうすりゃいいのだ。この矛盾した技をやるにはどうすればいい?そこから私の試行錯誤が始まる。それ以上先生は教えてくれなかった。自分で答えを見つけなければならない。答えが解るまで1~2年かかった。答えが解っても技が身に付くまでは数年かかった。今はセミナーで親切に教えてもらえるから簡単に答えが解る。

 そこまで教えなければ、我流になるか、「治らない。効果が出ない。」といってすぐにやめてしまう。教えてもすぐにできるものではない。ろくに練習もしないで「治らない。」といって辞める人もいる。私は、村上先生も小山先生も信じていたので、効果が出ないのは自分の腕が未熟なのだろうと思い、やめないで頑張った。喰らいついて頑張っていると道が開けた。凡人が効果を出すには繰り返し練習してコツを身につけるしかない。私は修業時代、毎日全身治療を1年間練習したが、それでも思ったような効果が出なかった。

 

その2「悪いところが必ずある。そこを見つけて治療するのだ。」

  村上先生が私に教えてくれた唯一のことである。最初は意味が良く分からなかった。数年やっているうちに、どうやら悪いところは硬くなっているらしい、というのがおぼろげながらわかってきた。そういえばその当時(今から35年前)血液循環療法の唯一のテキスト「百病治癒秘訣」(小山善太郎著)に「悪いところに硬結がある」と書いてあった。開業してから色々な患者さんの治療を経験するうちに、悪いところ(患部)がコリ(硬結)のように硬く変化していて、圧痛(押圧すると痛い)があることがだんだんわかってきた。その部位を治療すればいいのか、ということが解ってきた。そこで、シコリを見つけると早く治したい一心でしゃにむに押圧をやった。しかし、結果は良くなかった。逆に、患者さんから後で痛くなったとかひどくなったとか文句が出た。「ただ押しても治らない。」

 では、どうすればいいのか?「悪いところ(今はポイントという)を治療するのである。押すのではない。」ここに秘訣がある。「押圧」=「治療」ではない。「治療とは指先で血液の循環を良くするのである」ということが、自己治療をやってみて後で実感できた。(つづく)                  (大杉幸毅)